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アフロスポーツインタビュー vol.1 森田直樹

日本オリンピック委員会(JOC)の公式記録撮影を担当する「アフロスポーツ」。
アフロスポーツのフォトグラファーに東京オリンピックに向けた意気込みを聞きました。一人目は1993年生まれ、アフロスポーツ最年少の森田直樹。

「選手の一瞬一瞬の感情を逃さずにおさえたい」

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アフロスポーツ 森田直樹

―2018年からアフロスポーツとして活動、つぎの東京大会がはじめてのオリンピック撮影ですね。スポーツ写真に興味をもったきっかけは何だったのですか。

写真を始めたきっかけはサッカーです。奈良出身でずっとサッカー少年だったのですが、高校卒業を機にプレーを辞めて、それからサッカーを撮りたくて写真を始めました。

はじめての撮影現場もサッカーでした。学生時代にJリーグの撮影に入れる機会があって。そのときは90分間ずっと撮影して撮れた写真がやっと2~3枚。ピントの合っていない写真ばかりで、ボールすら写っていないこともありました。悲惨でしたね。そこからはひたすらに撮りまくる生活が始まりました。Jリーグ以外にも大学サッカーを撮影したり、サッカー以外の競技も毎週末何かしら撮影に行っていましたね。

東京開催が決まった2013年はちょうど就職活動をしていました。当時の先生に「アフロに入ったらオリンピックを撮れるかもよ」と言われたのを覚えています。その時はまさかという気持ちでしたが、その通りになりましたね(笑)。東京オリンピックでもやっぱりサッカーを楽しみにしています。

―サッカーの競技経験が今の撮影に活きていると感じることはありますか。

試合の展開を予測する力は、撮影において大事です。ここでこの動きをすると次はこう展開するだろう、という試合の流れを予測して動かないと一瞬のタイミングを逃してしまいます。その意味では競技経験が活きていると思います。

サッカーに限らずどんな大会でも会場に入るとまず、どのポジションを取ってどのレンズを使って撮ればイメージ通りに撮れるかをシミュレーションします。でも、あんまり決めすぎると撮れなかった時のショックが大きいので、ある程度決めてあとは臨機応変に。最後は運の要素も大きいですね。サッカーでもゴールシーンで選手同士の顔が被ってしまったり、ゴール後に反対サイドに喜びに行ってしまえば撮れません。

―謙遜していますが、準備に準備を重ねているのだと思います。運は最後のひと押しになるということですね。これまで撮影した中で、運も味方につけた渾身の一枚をぜひ教えてください。

2018年に韓国で行われた卓球の世界大会、ITTFグランドファイナル 男子シングルス決勝での一枚です。張本智和選手の史上最年少での優勝が決定した場面でした。

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2018 ITTFグランドファイナル 男子シングルス 最年少優勝した張本智和選手
aflo_93677450(森田直樹/アフロスポーツ)

卓球はとくに試合後の選手の動きが予測しづらい競技なのですが、こっち向けこっち向けと念じていると、こっち向いてくれて。来た!と思いましたね。夢中でシャッターを切りました。

―お祈りしているようなポーズ、一見すると優勝が決まった瞬間とは思えないくらいの静かな表情が印象的ですね。

はい。「チョレイ」の印象が強い彼ですけど、案外静かに喜んでいますよね。意外でした。勝って嬉しいって感じの表情ではない。自分自身で勝ったことに驚いてるし、でも嬉しいしみたいな。色んな感情が入り混じっている表情だと思います。東京大会でもこんな風に、選手の一瞬一瞬の感情を逃さずにおさえたいなと思ってます。

同じく卓球で、石川佳純選手も表情が魅力的で撮りたくなる選手ですね。試合中はものすごく怖い表情なのに、試合が終わるとふっと柔らかくなるんです。この前、全日本選手権で優勝したときも撮影に入っていました。優勝が決まって、石川選手泣いてたんですね。その時はもらい泣きしそうでした。同い年というのもあって、ずっと応援している選手のひとりです。

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2021 全日本選手権 女子シングルス 優勝した石川佳純選手
aflo_152206499(森田直樹/アフロスポーツ)

―もらい泣き・・!何年も同じ選手を撮影していると、自分もいっしょに練習していたかのように嬉しいのでしょうね。スポーツ撮影の裏側のようす、もっと詳しく聞かせてください。

選手が泣いてるのを見ると一緒になって泣きそうになります。頑張ったねえって。涙ぐみながらシャッターを切っています。そういう場面に出会えるとこの仕事をやっていて楽しいと思います。

陸上の山縣亮太選手が100メートル9秒95の日本新記録を出したときも現場で撮影していたんですが、そのときは凄くテンションが上がりましたね。走り終わった直後、まだ正式記録かどうか分からないタイミングでしたが、山縣選手がちょっとガッツポーズをしていたのが見えました。彼はずっと風に泣かされていて。向かい風だったり、反対に追い風で参考記録になってしまったり。正式記録に決まった瞬間は、いっしょに撮っていたカメラマンとふたりで凄いぞっていっしょに喜びました。

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2021 布勢スプリント 男子100m決勝 日本新記録を出した山縣亮太選手
aflo_161926275(森田直樹/アフロスポーツ)

―選手を間近で撮るスポーツカメラマンだからこそ、涙あり興奮ありの撮影現場なんですね。撮った写真に対して実際に選手から反応が届くこともあるのでしょうか。

インスタグラムにアップした写真に選手本人からいいねを頂くことがあります。本人の反応が見られるのはやはり楽しいです。何より選手本人にとって嬉しい写真でありたいですね。

―どうもありがとうございます。選手といっしょに喜んだり泣いたり、選手に寄り添って撮影する彼の優しい人柄がよく伝わるインタビューでした。

フォトグラファープロフィール

アフロスポーツ 森田直樹 https://sport.aflo.com/morita/

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2021年7月2日(金)~8月25日(水) 10時~17時30分

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