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アフロスポーツインタビュー vol.4 長田洋平

日本オリンピック委員会(JOC)の公式記録撮影を担当する「アフロスポーツ」。いよいよ開幕する東京大会に向け、アフロスポーツのフォトグラファーに意気込みを聞きました。四人目は車いすバスケットボールのドキュメンタリー撮影を精力的に行う長田洋平。

「そのときの空気感を表現できる写真を残したい」

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アフロスポーツ 長田洋平

―2012年からアフロスポーツとして活動、その翌年に東京オリンピックの開催が決まりましたね。その頃のことは覚えていますか。

アフロスポーツに入って間もない頃だったので、東京オリンピックはキャリアを積んでカメラマンとして脂がのったいい状態で迎えられるかなと思っていました。いよいよ目前になった今はそんなに落ち着いてないです。

夏のオリンピックを撮影するのは今回で2回目です。1回目は2016年のリオデジャネイロオリンピックで、水泳をメインで撮りに行きました。大会初日が競泳男子の400m個人メドレーで、取材の流れもつかめてない初日にメダルの可能性がもっとも高い試合だったので緊張しましたね。
今回のオリンピックも競泳に注目しています。日本の競泳陣ならメダルを取るのが当たり前のような風潮もありますけど、実はとてもすごいことだと思っています。日本人よりひと回りもふた回りも大きい体の選手たちとスピード勝負。何も使わないで、体ひとつで。オリンピックの大舞台で世界の名だたる選手と勝負して勝てるって本当にすごいことだと、リオ大会を撮影して実感しました。

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2016 リオ五輪 競泳男子 400m個人メドレー 金メダルを獲得した萩野公介選手
aflo_34901138(長田洋平/アフロスポーツ)

2012年のロンドン大会ではパラリンピックを撮影しました。車いすテニスの国枝慎吾選手を撮りたいなと思っていて、実際に金メダルの瞬間を撮影することができたのはカメラマンとしていい経験になったと思います。その直後に車いすバスケの決勝があって、優勝チームのネットカットや足の無い選手がゴールリングの上に乗って喜ぶところを間近に見られたのも嬉しかったです。

―車いすバスケはライフワークとして長く取材撮影をしていますね。

はい。懇意にしてもらっているクラブチームがあって、彼らの撮影をずっと続けています。車いすバスケは火花が散るほど激しいスポーツと言われますが、僕が初めて車いすバスケを見たときは静かなスポーツだなと思いました。走ったりジャンプしたりする足音が無いので、バスケットコートが静かで、きれいだなって。あと車いすバスケ用の車いすってブレーキが無いんですよ。止まるときは力技で、回転しているホイールを手で掴んで止まるんです。その時に摩擦で手が焦げるにおいがしたり。そうやって五感で楽しめるスポーツだと思います。日本人より体格の大きな選手やチームとの対決のときは、もろに当たったりすると負けてしまうんだろうなと思うんですけど、そこを戦略でうまく当たらないようにプレーを進めていくんですね。そこも見どころです。

東京大会では鳥海連志選手に注目しています。若くて、見ていてワクワクする選手です。撮っていて飽きないというか。プレーのバリエーションが多いし、同じ動きを2回しないような選手なんです。しかも気持ちが熱い。オリンピックという舞台でどんな表情、どんなプレーするのか、その姿を撮影したいと思っています。2018年にアジアパラ競技大会っていう世界大会があって、その決勝のときの鳥海選手の表情は印象的でした。決勝の相手が強豪のイランで、戦ってやるっていう気持ちが前面に出た表情が忘れられないです。大舞台じゃないと出てこないアスリートの表情があると思うので、そこを撮りたいなと思います。

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2018 アジアパラ 車椅子バスケ 男子決勝 鳥海連志選手
aflo_87823681(長田洋平/アフロスポーツ)

―東京オリンピックに向けた率直な意気込みを教えてください。

意気込みは平常心で頑張れるといいなと思います。写真は良くも悪くも後に残るものなので、残していくことが自分たちの仕事のひとつかもしれません。スポーツシーンの写真だけじゃなく、そのときの空気感を表現できる何かが必要だと感じます。競技だけに固執する必要はないのかもしれないと思いますね。スタジアムの周りの写真だったり、街を歩いたり、スポーツ以外のところでそういう空気感が伝わる写真を撮れるかもしれない。街頭テレビを見ているところ、駅や電車の中でスマホのライブ中継を見ているところとか。そんなオリンピックがある東京の風景を撮るのも面白いかもしれない。自分の心に余裕をもって広い視野で臨みたいと思っています。

スポーツ写真と言えるかわからないですけど、スポーツシーンの中に子どもがいる写真もひとつのテーマとして撮りためています。子供が好きで、被写体としてちょっと特別に見えるんです。ひとつの安息というか平和というか、そういったものの象徴の一つのように思っているのかもしれないですね。優しいスポーツ写真を撮りたいって何年か前に思い始めたんですよ。どうやってその表現をしたらいいのか全然分からなくて、たまにそういう写真が撮れたりして、後から見てみると子どもが写っている。意識したのは最近のことなんですけど、そういう写真を撮って重ねていけたらいいですね。

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2018 アジア大会 スケートボード 男子パーク 予選 11歳のスケボー少年
aflo_84536980(長田洋平/アフロスポーツ)

―「優しいスポーツ写真」最後に素敵なお話を聞けました。どうもありがとうございました。

フォトグラファープロフィール

アフロスポーツ 長田洋平 https://sport.aflo.com/osada/

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アフロスポーツの写真展を開催しています!

2021年7月2日(金)~8月25日(水) 10時~17時30分

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