弊社では毎年テーマを決めて、お客様にお配りするノベルティ用カレンダーを制作しています。2022年は動物を被写体とした「生命力」に決まりました。このカレンダーの写真を選び、制作した経緯を担当者に聞きました。
―今回のカレンダーのテーマはどのように決まったのですか。
まず最初に「光」と「色」というコンセプトがありました。日本や世界の風景、建築、人、動物、アートなど切り口はたくさんあります。私は日々お客様からたくさんの依頼を受けて、弊社にある写真や契約しているエージェンシー・作家の方々の作品の中から最適な写真を選び提案をする、という仕事をしています。まずはこの2つのコンセプトに合いそうな写真が頭の中にあったので光を動物で、色を街で表現できそうだなと思ったので写真を選んでいきました。
―写真の選び方にはポイントがありますか?
カレンダーの表紙1枚、月ごとの写真が12枚の全部で13枚の写真を決定していきますが、まずは100枚くらい写真を選びます。
写真を選ぶポイントは当たり前なんですけど「いい写真」であること。いい写真ってどういう写真か?と聞かれると難しいのですが、私は「構図と色がよいこと。その写真を見た人がネガティブな気持ちにならないこと。トリミングやレタッチすることは考えず、その1枚で完成されていること」ということを基準にしています。
見る人にとって、いい写真というのは主観的、直感的なものだと思っていますし、私も写真を選ぶときは直感を大切にしています。一方で、この仕事をしていて、日々数千枚、数万枚の写真を見続けてきたことで構図や色、撮影者の意図などを客観的に読み取ることができるようになってきたと思っています。自分の主観と客観性の両方を意識しながら、いい写真を届けられる目を持てるようになったのかなと思います。
―「光」テーマについて教えてください
そうして選んだ「光」と「色」の写真がこちらです。写真選びのポイントは先ほど話しました。加えて「光」の動物を選ぶときには「光だけでなく影もきちんと写っているか」「水飛沫がきれいに光っているか」など、できるだけ細かいところまで意識しました。
お気に入りは、この2枚。別の仕事の依頼のときに見つけた写真なんですけど、いつか使いたいと思っていて。テーマにもあっているし、何よりすごくきれいだったので。こういった写真を撮影する写真家は本当に特別な存在だなと感じることがあります。瞬間的に光を捉えてイメージし、作品を撮影する。目に見えた景色だけでなく、カメラだからできる陰影や光を使った表現を創造する力は本当にすごいと思います。でも残念ながら、今回のカレンダーには採用されませんでした。。。(笑)
全部の写真が光に焦点を当てたものになってしまうと、メリハリがなくつまらなくなるので、いろいろなバリエーションになるように意識しました。
選んだ13枚がこちらです。
―次は「色」テーマについて
表紙以外の12枚を12色の色鉛筆で表現できそうだなと思いました。あとはそれぞれの色にあった写真を探していくのですが、街には人、建築、花などさまざまな要素を組み入れられるので、たくさんのパターンを作ることができます。
お気に入りはこの2枚です。
1枚目はぱっと見て何をしているかよくわからない作品ですが、全体を埋め尽くす赤とカラフルな服装、人の配置などきれいな作品だと感じました。色をテーマに風景写真を選ぶと、その国や街の文化や風土の違いがよくわかります。この写真はバングラデシュで撮影されたものですが、インドも含めた南アジアというとスパイシーな料理に、カラフルな服装などが思い浮かびます。この写真はそのイメージ通りです。決して説明的ではなく、撮影者がその場所で見たこと感じたことを、アングルなどの工夫もあり「作品」として表現されていますが、残念ながらこのような写真は使われる機会が少ないんです。
2枚目はニューヨークで撮影された作品ですが、ぱっとみてもニューヨークだとは伝わりづらいかもしれません。しかし、ライトアップされたエンパイアステートビルに道から立ち上る煙。映画などで見た冬のニューヨークという街の空気感が伝わってくるいい作品だと思います。
そして選ばれた13枚がこちらです。
―最終案の決定まではどのような流れでしたか?
まず、この2案で検討することになりました。そして「光」の動物の採用が決まり、写真を見ながら更に検討を重ねました。生き生きとした動物がいる風景の空気感が伝わりそうな作品が多かったので「生命力」というテーマが新たに加わりました。最終的に選ばれた13枚がこちらです。1枚1枚それぞれにストーリーがあるいい写真を選べたと思います。
―最後にひとことお願いします
繰り返しになってしまいますが、弊社にはいい写真がたくさんあるのですが、残念ながらその作品がなかなか採用されず、埋もれたままの作品が多いのです。
このカレンダーをきっかけにと言ったら大げさかもしれませんが、写真を一人でも多くの人に見ていただき、見た人たちの想像力を刺激して、この動物の生命力や作家の表現したかったことを感じでもらえると嬉しいですし、もっともっといい写真を世の中に発信できればいいなと思います。
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